ぶどうの木のあれこれ

カウンセリングルーム『ぶどうの木』へようこそ。

自己暗示  

自己暗示って?

私どもは、実は「自己暗示」という心理学的な現象、状態をベースに、カウンセリング技法に応用しました。「思ってみる」というのは、「自己暗示」を有効活用するともいえます。

自己暗示とは、どんなものをいうんでしょうか?
最近では、本屋の店頭に、よく「自己暗示で自分を変える!」とか、大きなロゴで書かれた本がたくさん並んでますよね。ふと、その本を目にした人は、「こんな疑い深い私には自己暗示なんて効くんだろうか?」なんて、ちょっと考え込んで、その本を横目で眺めつつ、腕を組みながら、行ったり来たりして、「やっぱダメだわ、今いいや」って思って、立ち去り、またしばらくして、本屋に出かけて「やっぱりこれ気になるわ。どうしよう。読んでみようかな」なんて考えて、またうろうろして、やっぱり買わずに立ち去ってしまう。そんな経験ありませんか?
 「自己暗示」という方法は、いつまでたっても真新しい言葉のように聞こえるし、また何だか魔術めいた、一種こう胡散臭さがつきまとう言葉、もしくはイメージがありますね。でも、実は自己暗示という方法やその現象については、ずいぶん昔から研究されていて、心理療法の基礎となった、おおもと、源流の一つなんですね~。まあ・・うんちくはこれぐらいにして。(イカンイカン、つい悪い癖が・・)
 
さて、じゃあ、「自己暗示」とは、どんなものかというと、学術的に言うと、ややこしい、分かりづらい話になりますし、種明かしになって、企業秘密を明かしてしまうので(なんて、もったいぶって、カウンセリングに来させようとしているだな、こいつは!なんて思っているでしょ。そのとおりかも・・)
あるひとつのお話しをしてみましょう。

 私の実家の親父の話です。山梨に住んでいます。
 うちは実家では、ブドウ園をやっています。私の親父は、ブドウ畑をもう何十年も育ててきています。今は70歳を越えていますが、今でも元気に毎日のようにぶどう畑に出かけていく「ブドウ一徹」の人間なのです。
うちのぶどうは、ある時期、その村のなかでは、いつも糖度(甘さの程度)がナンバーワン、一位になっていたことがありました。親父はそんなときいつも誇らしげに、「うちのブドウの糖度が、地区の一番になったよ」と笑みをかみ殺したような、何とも嬉しそうに話していたものです。
私は、子どもの頃、あるとき親父に尋ねてみました。「なんで、うちのブドウはいつもそんなに甘いの?」素朴な疑問です。親父はいいます。「そりゃ、こんなおテントウさんが燦燦(さんさん)と降り注いでくれるしなー、毎日一生懸命育ててるからだ」・・なんじゃ、その答え。そんなの、ほかのお家の畑も同じだし、みんな親父と変わらず、一生懸命にブドウの面倒を見ているように見える。どこが、違うんだろう?と子ども心にとっても疑問でした。一生懸命育てているって・・。 
となり近所の畑の様子も見ると、地面をきれい手入れしているし、ぶどう棚を支える支え木もコンクリート柱を使っています。はたからみると、となり近所の畑が、ずいぶん立派に見えるのです。それに比べ、うちの畑は、支え木も使い古した木材などを使い、ぶどう棚も、他の畑と比べ、なんだか低いように感じるのです。土の種類や耕し方も、他とは取り立てて、違いもありません。
「家の畑は、あんまり見てくれの良くない畑なのに、なんで甘いブドウがなるんだろう」こんな疑問が私のなかでぬぐいきれないまま、あるとき、親父と一緒にブドウ畑の手伝いをしていました。冬の時期だったと思います。剪定(せんてい)といって、余計な枝を切り取り、ブドウの幹から出る枝ぶりを整えていく作業を親父はしていました。親父は、盆栽家でもあるので、この作業が大好きだそうで、よく「剪定は面白い」と言っていたのを記憶しています。

その剪定作業をする親父の様子をじっと見ていました。そうすると、親父はなんだか  ブツブツとつぶやいているのです。時々ニヤケながら。ヒ~気持ちわりい~!親父は酒好き、ギャンブル好きだったなので、どうせ、酔っ払ってパチンコが当たったことでも考えているんだろうと思いました。
しかし、よ~く耳を澄ましていると、「おいしくなれよぉ~」とか「こう伸びてみろぉ~」というように、ブドウの木に話しかけているんです。親父はよく歌を歌うのが好きで、畑作業をやっているときは、年がら年中、歌っています。そんな鼻歌気分で、フンフン~ってな感じで、楽しそうに、ブドウに話しかけています。そう、これが自己暗示だったのです。そして、この自己暗示が生きて、ブドウが甘くなったのだと後から発見したのでした。なんでこれが「自己」暗示だって? 暗示というのは、何となく分かるけど、「自己」じゃあないだろう。だって、ブドウの木(他者)に話しかけているんだから、それをいうなら他者暗示だろうが!?ワレ!?という罵声に近い声が聞こえてきました。ちょ、ちょっと待ってくだせ~、慌てないでくださいな。
「植物も人間の声をちゃんと聞いている、だからブドウも親父さんの声を聞いて、嬉しくなっておいしくなろうとして頑張ったんだ」
そんなロマンティックなこともあるかもしれませんねぇ~。サボテンなんかもそうだなんて、言いますもんね。

しかし、これは、紛れもなく自己暗示です。親父は、ブドウの木に話しかけつつ、自分で自分の声を聞きつつ、育てているんですね。それも絶妙な言い回しで。親父は、ぶどうに話しかけるように、「おいしくなれよぉ~」と言いつつ、実は自分に聞かせるようにしてみていたんですね。つまり自分に「おいしくなるように育てられるといいなぁ~」なんて気持ちを込めて、鼻歌気分で思ってみていた。こんなふうに、自分になんとなくだが、気持ちよく思えるように、自己暗示を使っていたんですね。
ブドウに話しかけるように、「自己暗示」を使っていたというのは、もう少し説明が要りますね。それは、親父がもっとも好きだった剪定作業と深いかかわりがあります。それが分かったとき、なるほどそういうことか、あれは自己暗示だったんだなということが理解できました。

親父は、土をどう耕すかということも勿論大事だということを分かっていました。
しかし、それ以上に、剪定という作業がいかに大事で、ブドウの実だけでなく、枝や葉っぱなど全体を含めた「ブドウの木」自体がいかに生き生きと、また美しく育つかということを考えていました。つまり、土の養分を木が吸い上げて、どのように効率よく枝に行き届かせるかという大変気の遣う仕事なんですね。親父は、枝の調子を見て、「これはダメな枝だとか、これはいい枝だ」というふうに、ハタから見たら全く分からない、きわめて高度で専門的な作業を施していたのです。しかも親父は自分の剪定作業にミスなく、うまくできるように、わざと棚を低くして、頭を極端に上げることなく無理のない姿勢でやれるように工夫していたことが分かりました。 ほ~~親父、やるじゃないか!
親父は、剪定だけは、家族の誰も手伝うことを許しませんでした。これは、農業というよりも、庭師や盆栽家の考え方ですね。親父は、剪定の大事さに気づき、そして、鼻歌気分の自己暗示を唱え、緊張感を伴う剪定作業をうまく自分でコントロールしていたのですね。本人は、それを自覚していたかどうかわかりませんが。

どうです?自己暗示のはたらきやは使い方は、何となく伝わりましたか?
いま自己暗示のありようの断片だけを説明しました。でも、自己暗示は奥がとても深く、人間の心の機能や言語の機能を解明していくためのとても重要な手がかりとなる概念です。そう、噛めば噛むほど味が出てくるおいしいものがいっぱい詰まった、キーワードなのです。
ただ、こういう自己流の自己暗示は、その編み出し方にちょっとしたコツがあります。それは、先にも言ったように、心理学の専門的な知識が素養としてなければ、なかなか生み出せないものなんです。
そんなところを皆さんのお話をうかがいながら、カウンセラーが専門的な技術を生かして、お役に立てられればと思います。

実家では「甲州」というブドウを栽培しています。後から入ってきた外来種ではなく、日本固有の昔からあるブドウ種です。しかし、この「甲州」で作られたワインが国内でもっともメジャーになっていますが、今世界で認められるようになってきています。「甲州」は、そのままでももちろん食べられます。素朴な味なのですが、おいしいときには、適度な酸っぱさが効いた甘い実の香りが口いっぱいに広がり、またちょっと渋みがあるほうが味に深みが加わり、あ~もうたまりません。
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「ぶどうの木」のカウンセリング  ~ 体験的対話  

さて、このページでは『ぶどうの木』がやっているカウンセリング技法
について、ご紹介します。

私は「体験的対話」という方法で、カウンセリングをしています。

① お悩みになっていること、心にある苦しいことなど、そういったお話しをじっくりお聞きします 
  お話しの内容はどんなことでも構いません  どんなことでも丁寧にお聞きします
   だからといって、心のうちにあることを無理にお聞きすることはいたしません
   あくまで、クライエントさんのペースに合わせて、ゆっくりお話しをお聞きします  
   まず、クライエントさんの心の緊張を和らげ、リラックスできるように努めてまいります

② 心が十分に和らぐと、悩みのうちに潜んでいた「自分の望み」が見えてきて、それが
   思いやすくなることがあります  
   お話しをじっくりとうかがう中で、期待や希望についてお話しをお聞きすることもあります
   そして、場合によっては、自分の望みについて「思ってみる」練習をしてみます
    
    
③ 自分の望みや期待のほうへ気持ちが向いてくると、心が一時的にでも明るくなれたり、
  少し楽になったりします そういった状態が定着できるように、応対してまいります
  リラックス・ワークやイメージ・ワークなどを用いたりします


 こんなふうに、簡単に書きましたが、実際には幾度もこの対話のプロセスを繰り返していきます
すると、だんだんこころの歯車がかみ合い、自身で力まずに動かせるようになってきます
それに伴って、というか、この歯車がかみ合わずに、ストレス状態になったこころが、
徐々に回復し健やかになっていったり、ある行動が極端にででていたのが、だんだん
おさまってきて、自分で調節できるようになってきます

category: 体験的対話

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「カウンセリング」って?  

さて、カウンセリングのことをきちんとお話ししましょう。

「カウンセリング」っていわれても、分かるようで分からない方も
結構いらっしゃるでしょうね。
まず、当たり前のことかもしれませんが、カウンセリングは、
「カウンセラー」という専門家と、「クライエント(来談者)」が対話する、
話し合うということで、まず成立します。

カウンセリングを受けにくるクライエントは自分の悩みを話したり、
こころに持っている問題、どうにも苦しいことを、カウンセラーに
話すことになります。
カウンセラーは、クライエントの話を聞いていき、ときどき相づちを
打ったり、ときには提案を話したります。

これが、目に見える形でのカウンセリングです。
ほんのときどきですが、映画やドラマでカウンセリングの場面が
出てきたりしますよね。最近見た映画では、「幸せのレシピ」で
そんな場面がちょこっとでてきました。


さて、カウンセラーと話すクライエントは、どういうことが起きるのでしょうか。
クライエントは、自分が話しをすることによって、分からなかった
自分の気持ちに気づけるようになったり、またカウンセラーに思いの
存分を話すことができて、すっきりすることもあります。

こういう場合もあるですが、クライエントは、自分の気持ちを丹念に
話すと、問題が見えてきて、「分かったはいいが、じゃあどうしよう」という
ふうになることもあります。
そんなときは、カウンセラーが、クライエントの思いに沿った「提案」をする
こともあります。そして、クライエントはカウンセラーからの提案を手がかりに、
自分にとっての答えらしきもの、腑に落ちるような思いを探していきます。

そんな体験を続けていくと、だんだん実際に以前のこころに新しい「思い」
が作られて、クライエントにとって、「解決していく」・「成長していく」・
「大丈夫になる」、という状態になっていきます。

だいぶ、まとめて説明しましたが、カウンセリングのプロセスは大体
こんな感じになると思います。


では、さらにカウンセリングについて詳しいことを、説明しつつ、
「ぶどうの木」でのカウンセリングのやりかたを、少しづつご案内
していきましょう。

category: カウンセリングのこと

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