ぶどうの木のあれこれ

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震災ストレスへのケアのために  

東日本大震災が起きて、12日が過ぎました。

やや微弱になってきたものの、今もここ関東、横浜では断続的に余震が発生しています。

ここ数日、皆さんはどんなふうに日々を過ごしていたでしょうか。

3.11という日を境に、あたりまえのように送っていた日常は、どこかへ行ってしまったような気がします。

頭のなかで、いろんな響きが鳴り止まない、そんな状態になっている自分に気づきます。

わけもなく早歩きになり、小走りになっています。

轟音、地響き、救急車の通る音、警報機の音、ヘリコプターの音、緊急地震速報の音、人々の悲鳴、悲嘆。
いろんな音声がどこからともなく聞こえてきては私たちの心を揺さぶり、緊張し、心音がうなりをあげて高まります。


震災は、私たちの日常を変えてしまいました。

毎日、何だか疲れる。 だるい。 よく眠れない。
軽躁状態になる。 落ち込む。 。
不安。頭が痛い。肩がこる。頻尿になる。

そんな状態が続くことに悩まされていること人がきっと多いことでしょう。
これらは、震災によるストレス「反応」です。

「反応」ですから、生命が脅かされるほどの危険な事態に遭遇すると、だれもがなる人間にとって自然で正常な反応です。

・・しかし、なかには自分にとって、いわば自然なマイナスな心の体験を「感じないようにしよう」、「思いたくない」、「なかったことにしよう」と無理な思い方をしてしまう場合があります。

こうなった場合が続くと、心の状態が空焚きのようになり、潤いを失くし、苦しくなってくるのです。


ただ、ここからが重要なのですが・・自然なはずのマイナスな心の体験を、「思いたくない」、「そんな自分は嫌だ」と思ってしまうのも、実は人間的な自然な反応なのです。


だから、よく陥りがちなのは・・逆に無理やり「こういったマイナスな反応は、人間的な反応なんだ」と、認めさせようとする、無理に受け入れようとすることも苦しくなってしまうのです。

このことを忘れがちです。

震災後の、不安、疲れ、おびえ。こういう反応は、人間にとって自然なんだよなあ。という思い方の自覚。

さらに、不安や疲れ、おびえ。これは人間にとって自然な感情だということは自覚しているけど、でもそれを「感じたくない」と思ってしまうのも、自然な感情なんだよなあ。という思い方の自覚。


この二つの自覚を持っていると心が緩んでくる。こういう心の作用があります。
しかし、こんなふうに言葉で表現すると、簡易な印象を受けるでしょうが、実際はこのことを腑に落ちるように納得を促すには、けっこう難しいことなのです。
口で言うほど簡単ではないのです。


災害後の心のケアを考えるとき、私たちは心の働き、性質を十分に理解しておかないとストレス「反応」を、自力では元に戻せないような状態、つまり「障害」にさせてしまう危険さえあります。
支援で行った対応によって、被災者の心の状態を逆に悪化させてしまうこともありうることも、心しておきたいものです。
そのような目に見えないリスクを、常に意識していくことが必要です。
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被災された方々へ  

このたび、今回の東日本大震災において、被災された多くの方々に謹んでお見舞い申し上げます。

3月11日午後2時45分ごろ、M9.0の巨大地震が東北地方の太平洋沖で発生しました。
大地震に続き、大津波が沿岸の街々をを襲い、尋常ならぬ速度で次々と街を丸ごと飲み込んでいきました。

連日映像から流れる、猛威を振るう津波の光景は、凄惨極まるものでした。
いともたやすく家々や建物をなぎ倒し、街を完全に破壊していきました。なすすべなくその光景を、虚ろな目で見つめる現地在住の人々の姿は、大変痛ましく、悲しく、私もそれを見ていて涙がこぼれました。

多くの人々が大災害の被害に合い、未だ行方不明な方、また被害によって亡くなられた方も大勢でています。

被災された方、私なぞが何と言葉がけをしたらよいのかわかりませんが、本当に大変な思いをされましたね。

とても恐ろしかったでしょうね。
そして今とても不安でしょうね。これから、どんなふうになっていくのか。今後どうやって生きていけばよいのか。
そして、ご家族、ご親族、ご友人、知人の行方、安否が分からない方々は、とても心配されているでしょう。

こういった、いろんなことが頭のなかを駆け巡り、体も心も休めていないでしょう。

避難所の生活、またライフラインがストップした家屋で生活している日々は、長く、寒く、落ち着かないことでしょう。
特にいま避難所で生活されている方々は、救援物資、食糧や水などが十分でなく、数日過酷な状況のなかお過ごしになられていると思います。

このような多くの皆様が、苦痛の毎日を送っているなか、私なぞが気休めの慰めや励ましなど言っても、帰って怒りを覚えるかもしれませんが・・


これから、被害状況が拡大することがないよう、こころからお祈りいたしております。

また、安否不明な方々と一刻も早く、連絡がとれることを、こころからお祈りしております。

避難されている方々に、物資と心の平安、安らぎが与えられますことを、こころからお祈りしております。


そして身近で大事な人が亡くなられた方・・。
悲しいでしょう。悔しいでしょう。涙がとめどなく出てきてしまうと思います。本当につらいと思います。
思い切り泣いてしまうと思います。無理にがまんすることなく、いま身近にいる人にお話をしてみてください。そして、素直な気持ちをできるだけでいいですから言葉にしてみてください。

でも、今は辛すぎて言葉にもできない状況かもしれません。それも、あなたのような状態だったら、無理もないことです。自然なことです。言葉になって自分の想いとしてでてくるまで、無理することなく待っていましょう。
そして、とにかく体を大事にして、食べるものを食べ、飲むものを口にして、温かくしてゆっくりと過ごしてください。

あなたの身近にいらっしゃった方は、突然天国にいってしまいました。確かに、実際の姿としてあなたの目の前にはもう現れないかもしれない。

でも、いずれその大事な人は、今度はあなたのこころを、住処(すみか)として生き続けるでしょう。

あなたは、目を閉じれば、これからはいつでも、その大事な人と会うことができます。

その大事な人は、これからはあなたにいつでも笑顔で答え、生きる力をあなたに惜しみなく与えてくれることでしょう。

だから、あなたはこれから、その大事な人の分まで、人生を豊かに、懸命に生きることができるでしょう。


今は、その大事な人を失ってしまったばかりだから、そうは思えないでしょうね。それも全く自然なことです。

でも、でも、いつかそう思える時がやってくるでしょう。

だから、今このとき、泣くだけ泣いて、悲しんで、それから少しづつ長い時間をかけて、ちょっとづつ、ほんのちょっとづつでいいですから、立ち上がっていって、そしてふらつきながらでも、少しづつ人生という道のりを、再びゆっくりと歩いて行ってください。

あなたは一人ではありません。多くの人々があなたを支え、何よりもあなたの心の中にいる大事な人があなたをしっかりと支えてくださるでしょう。


被災された方々、これからずっと応援し続けていきます。
一緒にゆっくり歩いていきましょう。

私は、カウンセラーという職業、臨床心理の専門家として、これから被災された方々の支援を行ってまいります。
これから、この状況のなか今自分が何ができるかを十分に検討し、本当に皆様の心の支援のためにお役に立つように、尽力してまいります。


カウンセリングルーム ぶどうの木
           丸山茂人

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