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ぶどうの木のあれこれ

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いいかげん映画鑑賞の愉しみ  

さて、今回は少しいつもより早めにブログを更新します。
書いておきたいことがあったので、久し振りにじっくり長く綴ります。

最近は仕事が忙しく、なかなか休みがとれない状況。
こんななかにも、一ヶ月に一日ぐらいはポツッと一日の大半ゆっくりできる日もあって、そんなときは電車で15分ぐらい揺られて、ほど近い映画館にふらりと出かけています。事前に観るものをはっきり決めず、何となく映画館に行ってその場のインスピレーションで決めて、今日はこれにしようかなぐらいのいいかげんさで観るものを決めてしまうのです。
秋はしっとり、特に映画を見たくなります、


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そんな、自分流いいかげん映画鑑賞を何回か繰り返していますが、これがまた不思議なことにどれもアタリなんですね。
前だったら、映画は大好きなものだがら、事前に内容や監督について入念に調べて予習してから見に行き、大きな期待感を持って映画館に行ってました。期待通りだとこのうえない悦に入れるんですが、ハズれたときの落胆が激しいったらありゃしない。

それに比べて、わが「いいかげん映画鑑賞」は、ま、適当に決めたんだから、そこそこ楽しめればいいかぐらいのゆるい構えで見れるのです。そうすると、どんなくだらない映画でも、ポップコーンむしゃむしゃ、コーラをグビグビやって見てるとなんか楽しい気持ちになれる。最近は昔は絶対に見なかったハリウッドのアクションも楽しんでいます。

こんな感じでつい先日もまたふらふらと映画を見に出かけ、その場で決めた映画が、たまたま黒沢清監督の映画、「岸辺の旅」。私の好きな映画監督の一人。即座に決めました。
観ると、何とも胸苦しいような切ない叙情感溢れた詩的な作品。独特な世界観にどっぷりと漬かり、酔いしれてきました。まあ何とも美しい作品。

岸辺の旅。
ネタバレになります。
何年か前に失踪した夫が、突然家に居た妻の前にあまりにも普通の姿で現れます。
しかし夫自身はすでに死んだと告白します。つまりすでに死者(幽霊)として、妻の前に姿を現したのです。そして妻に、生前お世話になった人々に一緒に会い行こうと誘うのです。妻は目の前の普通な姿でいる夫が本当に死んだ人間なのかどうかも分からず、しかし、とにかく夫に再会できたことの喜びに包まれたまま、この旅を共にすることにします。

妻の役は深津絵里さん。夫は浅野忠信さん。
深津さんは、夫を亡くした悲しみと再会の喜びをひしひしと迫力ある感情で表現し、浅野さんは妻の感情を風のように飄々と受け止める自然な佇まいを表現し、好対照の二人の存在がとても光っていました。

二人は様々な人との再会と旅を重ねて行くうちに、深くまた愛するようになっていきます。現世を浮遊する死者を描いていますが、その手法は不思議と漫画チックでもおどろおどろしくもなく、日本の豊かな自然や里山の美しい光景を地にして、与えられたいのちを慈しむように生きようとする人の姿、現世に何かを伝えようとする死んだ人の息遣いを優しくリアルに描いていました。

妻は、怒り心頭の感情も夫に思いっきりぶつけます。おそらく生前はこんなに自然に、感情もどこか出しきれなかったであろうことが想像できます。
夫も死者である自分を忘れて、イビキをかいたり、お腹が空いたり、乗り物酔いをしたり、だんだん「人間っぽく」なってくる。これがおかしい。

一方は生者で、一方は死者の夫婦。

ちがう世にいる二人が再び出逢い、愛に支えられながら、二人が自分のいのち、自分の「生と死」を「しっかりと生きる」ようになってくる。この展開がうまい。
この映画は、死者と生者の境界、交錯する二つの世界を描くファンタジーでありつつも、生も死も人間は「生きること」を伝えています。自分を、自分で生きていこうとする人間の、人間臭い姿を何気なく優雅に描いていて、しみじみと静かに涙がこぼれてしまいました。

この手の話に弱いなぁ。

ラストは、夫は現世で「息も絶え絶え」になり、呆気なくパッとあの世へ逝ってしまいます。最後の深津さんは別れをむかえ悲しむのでもなく、悟ったような柔らかな表情でもなく、イライラしたような怖い顔で終えるのです。この深津さんの表情がまた実にいい。
何なの?あの人。身勝手に生きて、身勝手に死んで、身勝手に化けて出て。頭に来る!ちきしょう、みたいな怒りを噛み殺す表情。
そうだ、そうだ!これだよ、これ。
これがラスト。絶妙な間合いで幕を閉じる。

見応えのある映画でした。

しかし、映画館って昔から好きですね。
むかしは街のうらぶれたところに小さな映画館がよくあって、客もまばら、かび臭い。
はじっこ、後ろ側の席に座って、お菓子をぽりぽり。
そんななかにポツリ一人でいると世の中の喧騒や考え事も忘れ、心地いい没入感。
映画館は私の癒され空間でした。
また行こうかな。

これから少しづつ映画のことも綴っていこうかと思います。



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